台風は、空の高いところにできる渦巻き雲のために、激しい雨や風が私たちの生活に影響を与える現象です。
でも台風がどのようにして生まれるのか、また温帯低気圧と熱帯低気圧の違いなどを子どもたちに簡単に伝えるのが難しいかもしれませんね。
この記事では台風がどうやって生まれるのか、台風が多くなる時期はいつか、そして子供向けにどう説明するかを詳しくお伝えします。
さらに台風がどのように進行するのか、どのように消えていくのか、そして世界の他の地域での台風の名前のつけ方についても触れていきますので、ぜひ参考にしてみてください。
子供に伝える前に台風の仕組みについておさらい
まず、台風の基本的な仕組みについて見ていきましょう。
その後で子どもたちに伝えるための方法も一緒にお伝えします。
台風の基本 台風は、熱帯の特定の低気圧の一つとして知られています。
熱帯で生まれる低気圧は熱帯低気圧と呼ばれますが、台風が生まれる場所は熱帯の中でも特定の地域、北太平洋や南シナ海(赤道の北側の、東経100~180度の範囲)に限られます。
そして風の速さ(10分間の平均)が毎秒17.2mを超えるものだけが「台風」と名付けられます。
台風の中心、いわゆる「目」には、反時計回りの上昇する風があり、その周りには下降する風が吹いています。
気象の写真で見ると、この下降する風の周りに雲が渦巻いているように見えます。この雲は、横から見るとトンネルのような形をしています。
このトンネルのような形の雲はアイウォールとして知られています。
このアイウォールの下の部分を囲むように、多層の雲が渦を作り、それが大きな空気の渦、つまり台風を形成しています。
アイウォールについてさらに詳しく
台風の中心近くには空気が下向きに流れる部分が存在し、そのまわりの空気が激しく上昇して、大きな雲の壁を作り出しています。
この特定の雲の部分は「アイウォール」として知られ、通常このエリアで雨が最も激しく降ります。
さらに、このアイウォールに向かう形で渦巻き状の雲の列が伸びており、この渦巻きの雲は「スパイラルバンド」と称され、時折台風の中心から離れた場所でも激しい雨をもたらします。
台風はどこでどうやって生まれる?
台風が生まれる場所は、主に赤道の近くの海面の温度が高い場所です。
熱帯の地域では、海からの水蒸気が暖かくなって上に昇りやすく、上の冷たい空気によって冷やされた水蒸気で大きな雲ができます。
そして、この時に放出される熱が台風を生むエネルギーとなります。
上昇する風は反時計回りに回る特性があるので、大きな雲も反時計回りに成長していきます。
これらの雲が集まって大きな渦を作り、その中心で気圧が下がり、熱帯低気圧となります。
この熱帯低気圧がさらに水蒸気を取り込んで力を増していき、風の速さが毎秒17.2mを超えると、それは台風として認識されます。
台風について子供に説明するには?
台風が訪れるのは夏や秋が主ですが、実際には一年中、台風は生まれています。
ただ、日本には来ないだけで、真冬でも台風が生まれることがあります。
しかし、台風が最も多く生まれるのは8月で、日本に上陸する台風が最も多いのは9月です。
子どもたちに伝える方法 台風について子どもたちに説明する際、まず「暖かい南の海で、たくさんの雲がどんどん作られる」と教えてあげると良いでしょう。
その後、「雲が増えて大きな渦巻きになる。そして、その渦巻きがどんどん速く回ると、強い風や雨が生まれる。そして、ある特定の風の速さを超えると、それは台風と呼ばれる」と説明するとわかりやすいでしょう。
もし子どもが小学生なら、地球の地図や地球儀を使って、台風が生まれる場所を示してあげると良いでしょう。
言葉と図があれば少しでも理解が深まると思います。
台風が反時計回りな理由↓
台風と他の名前
台風には、タイフーンやハリケーン、サイクロンといった他の名前もあります。
これらの名前は、地域や発生する場所によって変わります。
例えば、台風やタイフーンは日本の南側や北半球の海上で生まれるものを指します。
一方、ハリケーンは北半球の東経180度よりも東側の太平洋や大西洋で生まれるものや、その地域に向かうものを指します。
サイクロンは、インド洋や南太平洋、南大西洋で生まれるものを指します。
台風の進行と消滅 台風は自ら動くわけではなく、地球上の大きな風によって動かされます。
日本に来るのは、太平洋高気圧や偏西風の影響で、赤道近くの低緯度では東風が吹いている中で、太平洋高気圧を避けるために西に進む傾向があります。
日本に近づくと、上空に強い偏西風が吹くため、台風は速く東に進む傾向があります。
夏は日本の上空に太平洋高気圧がありますが、秋になると東に移動するため、日本が台風の通り道となります。
台風の名前の由来 台風の名前は「台風委員会」という国際的な組織で決められています。
以前は日本では1号、2号というように番号で呼ばれていましたが、2000年からは委員会で決めた140の名前を使うことになりました。
これらの名前は「アジア名」として知られており、14の国や地域が順番に名前を提案しています。
日本が提案した名前には、星座を元にした名前が10種類あります。
日本が命名した台風の名前:
- テンビン(てんびん座)
- ヤギ(やぎ座)
- ウサギ(うさぎ座)
- カジキ(かじき座)
- カンムリ(かんむり座)
- クジラ(くじら座)
- コップ(コップ座)
- コンパス(コンパス座)
- トカゲ(とかげ座)
- ハト(はと座)
結構そのまんまですね(笑)
台風が熱帯低気圧や温帯低気圧に変わる時
台風は海の温度が下がると、勢いが弱まり、熱帯低気圧や温帯低気圧に変わります。
夏の台風と秋の台風 夏に生まれる台風と秋に生まれる台風は、移動の速さや勢いが異なります。
夏の台風はゆっくりと移動するため、勢いが少し弱まることがありますが、秋の台風は速く移動するため勢いが強まることが多いですね。
台風と温帯低気圧の違い
台風と温帯低気圧は似てはいるもののちょっと違ったものです。
台風は暖かい海の上で、水蒸気が雲になるときに熱を出して大きくなります。
ですので台風は暖かくて、水分をたくさん含んでいるのが特徴です。
一方、温帯低気圧は寒い場所と暖かい場所の間でできるものです。
この2つの場所の温度が違うことが、温帯低気圧の大きな特徴です。
台風が北に進むと周りの空気との温度が違ってきます。
そのため、台風の暖かい空気と冷たい空気が混ざり合い、台風の特徴が少しずつなくなり、温帯低気圧のようになってきます。
多くの台風はこのようにして弱くなっていきます。
しかし例外もあって、2004年の台風第18号のように、一度弱くなったあとまた強くなることもあります。
この台風は長崎に来た後、日本海を通って北海道の方へ進みました。
途中で弱くなったのに海を通過して来たために北海道の近くでまた勢いが強くなりました。
台風は中心が一番強いのですが、温帯低気圧は広い範囲で風が強くなることが多いです。
台風と熱帯低気圧の違い
台風と熱帯低気圧は同じグループに属しています。
しかしどちらも強い風を持っていますが、その風の強さによって名前が変わります。
熱帯低気圧の中で、風の速さが17.2m/s以上のものを日本では「台風」と呼びます。しかし、世界の他の場所では、名前や風の速さの基準が異なります。
例えば、太平洋の西側では「タイフーン」と呼ばれ、カリブ海の周りでは「ハリケーン」と呼ばれます。
そして、インド洋や南太平洋の西側では「サイクロン」と呼ばれます。
これらの風の速さの基準は32.7m/s以上です。
つまり台風とタイフーンは似ていますが、風の速さの基準が異なります。(17.2m/sと32.7m/s)
まとめ
台風は毎年私たちの生活に影響を与えるものですが、その性質やメカニズムを理解することで、防災の意識を高めることができます。
子どもたちにも台風についての知識を伝えることで、彼らの安全意識や知識を高めることにつながるので、お子さんから台風ってどうやってできるの?と聞かれた時はこの記事を参考に教えてあげると良いでしょう。
よく台風ニュースで耳にする温帯低気圧や熱帯低気圧の違いもこれで大丈夫ですね。
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