なぜ台風が日本では反時計回りなのか不思議に思ったことはありませんか?
実は台風、北半球では反時計回りに、南半球では時計回りに渦を巻いているんです。
これは地球の自転と風の慣性力によって生じるコリオリの力という現象によるものが原因で、起きていることなんですね。地球が球体であり、自転しているのでこんなややこしいことが起きているということ。
そこでこの記事ではコリオリの力と台風の関係を簡単に、できるだけわかりやすく説明してみます。
そもそもコリオリとは?
コリオリの力というのは、地球が回転していることによって生じる特別な力のことを指します。
でもこの名前はどこから来たのでしょうか?
実は、この力を数学できちんと説明したのは、19世紀(1800年代)のフランスの科学者のコリオリさんです。
彼がこの力についての研究をして、その性質や働きを数学的に示しました。そのため、彼の名前を取って「コリオリの力」と名付けられました。
コリオリ(Gaspard Gustave de Coriolis)[1792~1843]
フランスの物理学者・工学者。
力学理論を機械の運動に応用し、仕事という概念を提唱。 回転座標系で現れるコリオリの力を発見。 著「機械の効果の計算について」など。
簡単に言うと、コリオリさんがこの特別な力のことを学問としてしっかりと説明したから、彼の名前を使ってこの力の名前がつけられたんです。
コリオリの力とは何か?
コリオリの力とは、地球が自転することによって進行方向右側(北半球)または左側(南半球)に曲がっていく見かけの力です。
実際には力が働いているわけではなく、地球上で見るとそう見えるだけです。宇宙から見ると、物体は直線的に運動しています。
例えば、北極から赤道に向かってボールを投げるとします。
宇宙から見ると、ボールは直線的に赤道に向かって飛んでいきます。
しかし地球上から見ると、ボールは右側にずれていきます。
これは赤道付近では地球の自転速度が高く、北極付近では低いためです。
ボールは投げた時点での自転速度を保持していますが、赤道付近では地表がボールよりも速く動いています。
そのためボールは地表から遅れて右側にずれていくように見えます。
このように、地球上で見ると進行方向右側(北半球)または左側(南半球)に曲がっていく見かけの力がコリオリの力です。
↑回転する台の上で真っ直ぐボールを投げたのにカーブを描いたようになります。
台風はなぜ反時計回りになるのか?
台風は低気圧の一種であり、中心に近いほど気圧が低くなっています。そのため外側から中心に向かって空気が流れ込みます。この空気の流れを風と呼びます。
この風に対してコリオリの力が働きます。
北半球では右向き、南半球では左向きに風が曲げられます。そのため台風の中心を中心に考えると、北半球では反時計回り、南半球では時計回りに風が巻き込まれます。
このように地球の自転と風の慣性力によって台風は反時計回り(北半球)または時計回り(南半球)に渦を巻きます。
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コリオリの力は赤道上で働かない
コリオリの力は地球の自転によって生じる見かけ上の力です。物体が地球上で動くとき、地球の自転の影響を受けて、その動きが変わる現象がコリオリの力として現れます。
北半球ではこの力の影響で物体は右側に偏向し、南半球では左側に偏向します。
しかし、赤道上では、物体の動きが地球の自転の方向と直交するため、コリオリの力の影響が0となります。つまり、赤道上ではコリオリの力が働かないのです。
具体的には、赤道上で物体が動くとき、その動きは地球の自転と平行になるため、コリオリの力による偏向が生じません。そのため、赤道上ではコリオリの力の影響を受けず、物体は直進する動きを保ちます。
このように赤道上ではコリオリの力の影響がないため、気象現象や海流の動きも、他の地域とは異なる特徴を持っています。
コリオリの力が影響するものの例
コリオリの力って聞き慣れない名前ですよね。
でも、実は私たちの身の回りにもこの力が関わっている現象がたくさんあります。台風以外の例をいくつか紹介しながら、コリオリの力について説明してみましょう。
遊園地のメリーゴーランド
メリーゴーランドが回転しているとき、中心から外側に向かって歩こうとすると、なんだか変な力が働いて真っ直ぐに歩きにくいことがありますよね。メリーゴーランドに限りませんけど。
これもコリオリの力が関係しています。
ボールの軌道
野球やサッカーでボールを投げたり蹴ったりすると、ボールの軌道がほんの少し曲がることがあります。
コリオリの力は、地球が回転していることで生じる力です。地球が回転することで、物体の動き方に影響が出るんです。これを身近な例で感じることができるのが面白いですよね。
トイレの水の流れ方もコリオリの力が関係あると言われていましたが、規模が小さすぎて関係ないと言われています。
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まとめ
台風は反時計回り(北半球)または時計回り(南半球)に渦を巻く理由は、コリオリの力という現象によるものでした。
コリオリの力とは地球が自転することによって進行方向右側(北半球)または左側(南半球)に曲がっていく見かけの力です。
実際には力が働いているわけではなく、地球上で見るとそう見えるだけなんですね。
コリオリの力は台風だけでなく気象現象や海流などにも影響を与えていて、地球の自転と物体の慣性力の関係を理解することで、自然の不思議をもっと深く知ることができます。
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